事故直後から相続まで、死亡事故が起きたときの流れとは

警察庁が公表しているデータによると、平成26年に起きた交通事故の件数は57万3842件。うち、4013件が死亡事故となっています。

一日あたり11人もの人が日本のどこかで亡くなっている計算です。

交通事故は、いつ誰に振りかかってもおかしくありません。大変な災難だからこそ、「もし大切な人が亡くなってしまったら、自分はどうすべきか」を知っておきましょう。

今回は、交通事故であなたの大切なご家族が亡くなってしまったとき、一体どういう手続きが必要になるのかを全体的な流れで説明していきます。

事故後に起きるできごとは、おおまかに、

  • 故人の葬儀と、それに伴う各種手続き
  • 加害者との示談や損害賠償請求
  • 遺産相続

にわけられます。

時期的に前後することもありますが、事故後にどういった手続きが必要になるかを見ていきましょう。

死亡届の取得と、故人の葬儀

警察から連絡が来る

死亡事故が起きると、加害者や目撃者から警察に通報が行き、事故の状況を調査する実況見分が行われます。

事故被害者は、すでに息を引き取っている場合は警察に、治療の余地がある場合は病院に搬送され、遺族に連絡が来ます。

検視や司法解剖が行われ、死亡診断書(死体検案書)を書いてもらう

交通事故で亡くなった方の死亡を証明するため、医師が死亡診断書(死体検案書)を発行してくれます。

これらの書類は、故人が入っていた生命保険金の受け取りや相続、慰謝料請求などに必要なので、できれば複数枚取っておきましょう。

役所に行って死亡届を出し、火葬許可証をもらう

被害者が亡くなったことを知ってから7日以内に、故人の本籍地や現住所の役所に死亡診断書をもっていき、死亡届を提出します。

これによって、戸籍上でも本人の死亡が確認されます。同時に、葬儀を行うために火葬許可証をもらいましょう。

なお、死亡届の提出は24時間可能です。

葬儀を行う

火葬許可証をもらったら、葬儀社に連絡をし、葬儀の段取りを行います。

※葬儀社によっては、死亡届の手続きなど代行してもらえるところもあります。

警察に呼ばれ、調書を取られる

死亡事故の場合、被害者本人から事故の話を聞くことができません。

なので、加害者だけでなく遺族にも警察から連絡が来て調書を取られます。

いわゆる遺族調書というもので、故人がどんな人だったのかといったことから「加害者を厳罰に処してほしい」といった要望まで聞かれます。

故人が加入していた任意保険への連絡と、保険金の受け取り

故人が死亡保障のある保険などに加入していた場合、任意のタイミングで保険金を受け取るための手続きをしましょう。

その他、必要に応じて携帯電話の解約なども行っていきます。

加害者・相手保険会社との示談交渉

交通事故によって人一人が亡くなってしまった、という取り返しのつかない事実に対して、遺族は加害者へ損害賠償請求をすることができます。

金額については自賠責や任意保険などの基準がありますが、金額の大小や内容は示談交渉によって決定する場合が多いです。

示談交渉がどうしてもうまくいかない場合は調停を依頼し、それでもダメなら民事で裁判をすることになります。

ちなみに、示談交渉は加害者本人と行う場合もあれば、相手が加入している任意保険会社の人と示談交渉をする場合もあります。

示談交渉はもめる可能性が高い

はっきりいって、まったくもめない示談のほうが珍しいです。

交通事故で被害者が亡くなっているといっても、加害者がどれだけ反省しているのか、またどこまで補償を行う気持ちがあるのかはまちまちです。

加害者が反省をしていても、実際に賠償金を払うことになる保険会社が金額に納得しない場合もあります。

大切な家族を失って打ちひしがれているときに言葉巧みにつけ込まれてしまう人も多く、「事故相手がどんなに良い人でも示談はもめる」と思っておいたほうが良いでしょう。

遺産相続をして相続税の申告をする

人が亡くなると、もっていた財産を相続人でわけあうことになります。

示談がうまくいけば良いのですが、大抵の場合もめますし、遺産相続もまたもめごとになりやすい悩ましい問題です。

相続税の申告期限は故人の死から10ヶ月なので、示談交渉と同時に遺産相続の手続きもしなくてはなりません。

死亡事故の注意点

大切な家族が不幸な交通事故で亡くなってしまうのは、とても悲しいできごとです。

しかし、「悲しいから」と座り込んでいるだけでは正当な賠償を勝ち取ったり、必要な手続きを済ますことはできません。

警察、加害者、相手側の保険会社からつらいことを聞かれたり、いわれたりすることもありえます。

故人の名誉を傷つけないためにも、遺族の生活を守るためにも、ひとつひとつのできごとにしっかり対処していきましょう。