生活や葬儀の費用を補助してくれる制度は、自分から動かないともらえない
各種保険や年金など、普通に生活していてはあまり気に留めない補償制度には、ものによって補助金や給付金の制度があるのを知っていますか?
死亡事故のあとはなにかとお金がかかります。
葬儀だってタダではあげられません。いろいろな手続きや請求もあり、しかも大黒柱が亡くなってしまっているなら日々の生活にもことかくのです。
便利な制度を利用できるかどうかは、あなたが制度を知っているかどうかにかかっています。
利用できる給付金制度はめいっぱい利用して、事故後の生活を乗り切りましょう。
国民年金の死亡一時金の請求手続き
国民年金を36ヶ月、つまり3年以上納付していて、しかも「老齢基礎年金」や「障害基礎年金」の給付を受けていない場合、「死亡一時金」という給付金を請求することができます
- 国民年金死亡一時金請求書
- 故人の年金手帳
- 戸籍謄本と住民票の写し
- 振込先の口座情報
- 手続きをする人の印鑑
をそろえて役所の窓口や年金事務所に行けば、請求可能です。
なお、死亡一時金の請求ができるのは故人が亡くなってから2年と決まっており、同居の遺族しか請求できません。
もらえる金額は、
- 国民年金の納付期間によって、12万円~32万円
- 付加保険料を36ヶ月以上払っていたら8500円上乗せ
で決まります。
ちなみに、遺族基礎年金を受けられる場合は一時金の請求はできません。
寡婦年金を受け取れる場合、一時金か寡婦年金のどちらかを選んで給付を受けることになります。
国民健康保険の葬祭費
社会保険に入っていない人は、市の国民健康保険に加入することになりますよね。
そしてじつは、国民健康保険には「葬祭費」という給付金制度があります。
故人が国民健康保険に加入していた場合、
- 申請書
- 故人の国民健康保険証
- 申請する人の印鑑
- 葬祭費を振り込んでもらう口座情報
- 死亡診断書や会葬礼状、葬儀の領収書
などが必要です。
給付される金額は自治体によってまちまちで、大体は5万円、高くても7万円くらいです。
ただし、請求できる期限は葬儀から2年と決まっています。
健康保険の埋葬料
故人が会社勤めだった場合、健康保険に加入しているでしょう。
健康保険にも国保の「葬祭費」と同じような給付金、「埋葬料」があります。
必要書類などは変わりませんが、健保の埋葬料の場合、会社に書類を渡せば手続きをしてもらえます。
金額は一律5万円です。
労災補償の請求(業務中の死亡事故だった場合)
労災保険というものをご存知でしょうか?
「会社が命じた業務中に起きた事故にけがなどを受けた場合、治療費などを補償してくれる」保険のことです。
業務中の解釈には、通勤中も含まれますから、例えば故人が朝会社に通勤している最中に死亡事故にあった場合、労災が使える可能性は十分にあります。
労災と認められた場合、健保の「埋葬料」ではなく、「葬祭料(葬祭給付)」を請求可能です。
金額は、
- 31万5000円+給付基礎日額の30日ぶん
- 給付基礎日額の60日ぶん
のどちらか高いほうです。
国保や健保の給付金より金額が大きいですね。
請求できる期限は故人が亡くなった日の次の日から2年以内で、手続きは故人が働いていた会社のある地域の労働基準監督署となります。
請求書のほかに、死亡証明書(死体検案書)が必要です。
任意保険の生命保険金の請求手続き
故人が死亡補償のある任意保険に加入していた場合、プラン通りの生命保険料を保険会社からもらうことができます。
保険金の請求には「死亡証明書(死体検案書)」が必要になるので、事前に準備をしておきましょう。
任意保険の補償は、手続きをしてから1ヶ月ほどで受け取ることができる場合もあり、生活費がどうしても足りないときにも助かります。
ただ、死亡生命保険金は相続財産とみなされてしまい、相続税の対象になるので利用には慎重に。
任意で加入している保険は医療保険だろうと自動車保険だろうと、請求ができるときに請求してしまったほうが良いです。
高額療養費制度の利用
高齢者は別として、一般的に保険に加入していると、医療費は3割負担になりますよね。
しかし、3割負担でもなお病院や薬局でたくさん医療費を支払っている人は、医療費の負担が大きくなりすぎないように「一定額を越えた医療費は、手続きをすればあとで戻ってくる」制度があるのです。
「高額療養費」制度といって、細かい条件はいろいろありますが、治療費の支払いをしてから2年以内であれば故人の死後も請求ができます。
加入している保険によって手続き先や条件が異なるので、高額な医療費負担がある場合は一度調べてみると良いでしょう。
なお、請求には印鑑や医療費の領収書などが必要です。
最後に
各種の補助金・給付金は自分から請求しないともらえません。
手続きを知らないでいたために、「苦しいときに助けてくれる制度を知らず、ますます困窮してしまう」なんてことになっては大変です。
使える制度は利用すべきです。見落としのないように手続きしていきましょう。