すべての手続きを事故直後にするのは難しい!
死亡事故のあとに必要な手続きはとにかくたくさんあるので、すべてを事故直後に片付けるのは無理です。
なので、事故後は必要な手続きに優先度をつけて、ひとつずつ対処していくことが手続きをすべてやりとげるコツとなります。
【必要な手続き① 直後に行うべき手続き】では死亡届などの必須な手続きを中心に説明しましたが、ここでは手続きをするまで数か月くらいは猶予のあるものを紹介していきます。
事故から数か月の猶予がある手続き
雇用保険受給資格者証の返還
亡くなった方が雇用保険を受けていた場合、登録していたハローワークに出向いて雇用保険の受給を取りやめます。
必要なものは、
- 雇用保険受給資格者証
- 死亡診断書もしくは死体検案書
- 住民票
などです。
雇用保険に関しては、年金と同様「まだもらっていないぶん」を請求することができます。
手続きの猶予は1か月ほどなので、少し余裕がありますね。
準確定申告
毎年払っている所得税や市県民税、健康保険料の計算は、毎年1月1日から12月31日までの収入や経費、控除などを計算して行う「確定申告」で決まっています。
では、年度の途中で亡くなってしまったらどうするのか?
その答えが「準確定申告」です。1月1日から故人が亡くなった日までの所得や控除を遺族(相続人)が計算し、書類を作って4か月後までに税務署に届け出なくてはなりません。
ただ、亡くなった方が給与所得のみを得ている会社員なら、会社のほうで年末調整をしてくれます。
自営業や副業収入があった、年収が2000万円を越えていた、といった例外を除けば、準確定申告をする必要はありません。
手続きに必要なものは、
- 申告書
- 死亡した方の確定申告書の付表
- 控除の証明になる書類(医療費控除なら病院の領収書など)
です。
相続関連の手続き
さあやって参りました。ある意味では事故後にもっとも大変な、遺産相続に関する手続きです。
ある人が亡くなると、その人がもっていた財産、資産、負債は相続人に相続されます。
遺言のあるなしなどもありますが、相続する権利をもつ人が誰か、どれくらい相続できるのかは民法で決まっています。
死亡事故の場合故人が遺言を残していないことも多く、家族を失った悲しみと同時に「遺産をよこせ!」といった親族と争いになるケースも少なくはありません。
相続関連の手続きには時間制限のあるものもありますので、一つずつ見ていきましょう。
故人の戸籍謄本の取得
遺産相続では、基本的に公平な分配が約束されています。
なので、「相続人が何人いるか」を確定させるために、故人の戸籍謄本を遡れるだけすべて集めます。
隠し子や知らなかった親族の存在を明らかにしたあとで「遺産分割協議」を行うわけです。
財産目録づくり
相続人を確定させると同時に、故人の遺品を整理したり登記を調べたりして、すべての財産を調べてまとめた「目録」をつくります。
ついでに、不動産など現金でないものは金銭的価値に換算して遺産総額を計算します。
遺産分割協議と協議書の作成
「相続人」を集め、「財産目録」を見ながら遺産分割協議を行いましょう。
どの遺産を誰に、いくら分割するのかという話し合いです。内容がまとまれば、「遺産分割協議書」をつくってその通りに分配します。
しかし残念なことに遺産分割協議はもめごとになりやすく、決着がつくまで1年2年かかることもあります。
相続の放棄
遺産相続では、家や土地、現金など受け取ってうれしいものばかり受け取れるわけではありません。
亡くなった方の借金や住宅、車のローンなども引き継ぐことになります。
親族ともめたくない、遺産相続に興味がない。
そんなときにできるのが「相続放棄」です。
相続の放棄をすれば、遺産相続とは一切無関係になります。
ただ相続放棄には時間制限があって、「故人が亡くなったことを知ってから3か月以内」に書類を書き、家庭裁判所に提出しなくてはいけません。
相続税の申告と納付手続き
受け取る遺産の金額によって、相続税がかかります。
相続税の申告と納税は、相続人たちが自ら行う必要があります。
そして、相続税には申告と納税は、遺産相続がはじまってから10か月以内と期限が区切られているのです。
相続税がかかる金額の相続なのに10ヶ月を越えて申告・納税をしていない場合、罰として延滞税などを余分に請求されてしまいます。
数か月の猶予があっても、手続きは早めのほうが良い
死亡後に必要な手続きは、後回しにしたり、長引かせたりしないようにするのがおすすめです。
事故のあとは生活も大変ですし、なにかと忙しいので必要な手続きをすっかり忘れてしまうことも考えられるので、できる手続きはできるときにやっておいたほうが良いのです。
とくに税金関係は期限のある手続きが多いので、ぜひとも気をつけてください。